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HOME > 研究紹介 > 論文レビュー②

題目
Effectiveness of professional training for bereavement care ~A survey of Japanese pediatricians supporting familie who have lost a child~
著者
N Setou, Y Sakaguchi, K Kurokawa, S Takada
(瀬藤乃理子、坂口幸弘、黒川雅代子、高田哲)
典拠
Pediatric International 57:699-705, 2015.

「遺族支援に関する研修会の有効性と課題~子どもを亡くした遺族を支援する小児科医への調査~」

【目的】
 遺族支援を行っている小児科医への質問紙調査から、遺族支援に関する研修経験の有無に焦点をあて、研修経験がどのような点で役立っているのか、そして今後の研修体制としてどのような事を考慮すべきかについて明らかにした。

【方法】
 ハイリスク児フォローアップ研究会の小児科医312名と、小児神経学会の小児科医242名、計554名に質問紙による郵送調査を行った。質問項目としては、性別、年代、経験年数などの個人プロフィール、遺族支援に関する経験の有無とその負担感、遺族支援の意識に関する8項目を尋ねた。そして、遺族支援の経験者を、遺族支援に関する研修経験の有無により2群に分け、その2群間で各項目に対してχ2検定を行った。また、研修経験の有無に関連する因子について、ロジスティック解析を行った。

【結果】
 239人の小児科医から返却があり(回収率43.1%)、そのうち遺族支援の経験があったのは193人(80.8%)で、欠損値がない175人を分析対象とした。 175人のうち、遺族支援の研修経験があった人は46人(26.3%)であった。ロジスティック解析では、「子どもを亡くすことのリスクの認知」「支援機関の情報」「遺族支援の研修希望」「専門家との連携」の4項目が抽出され、研修経験のある群は、ない群に比べ、子どもを亡くすことによるリスクをよく認識し、支援機関の情報を多く持ち、遺族支援の研修や専門家との連携をより強く希望していた。また、小児科医らの心理的負担感、無力感、疲労感の項目には、2群間で全く有意差が見られなかった。

【結論】
 約8割の小児科医が何らかの遺族支援の経験があったが、研修経験者はそのうち約4分の1であった。研修経験により、支援機関などの支援情報が得られ、更なる研修や専門家との連携を希望する人は増えていたが、小児科医の心理的負担感に差はなく、現在の研修内容は、支援の知識や情報提供が中心に構成されているといえる。海外では既に遺族支援の研修の中に支援者のセルフケアの項目を入れることが重要視されている。日本においても今後、遺族支援に高い心理的ストレスを感じる小児科医のために、支援者の共感性疲労を予防するためのストレスマネージメントの考え方や方法について、研修内容に盛り込むことが求められる。