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HOME > 研究紹介 > 論文レビュー①

題目
Interventions for bereaved parents following a child’s death: A systematic review
著者
Endo K, Yonemoto N, Yamada M
典拠
Palliative Medicine 2015, 29(7), 590-604


「子どもと死別した親への介入:システマティック・レビュー」

 子どもの死は、家族にとって極めてストレスの高い出来事である。本論文は、遺された家族にエビデンスレベルの高い効果的な支援を展開するために、世界中の臨床試験論文を検索し、総括・評価したコクラン・システマティック・レビューである。

 本論文では、各論文のタイトルと要約から961の文献を抽出し、不適格なものを取り除いて最終的に8研究を抽出した。それらの介入方法を①サポートグループ、②カウンセリング、③心理療法、④危機介入の4つに分類し、対象や介入内容、測定指標、調査結果等を示している。全ての研究の介入目的は、遺族の精神的健康とウェルビーイングである。以下、4つの分類から代表的な研究を紹介したい。

 ①サポートグループ:Murphyら(1997,1998)の調査は、事故や自殺、殺人により、子どもを失った両親のグループを対象に行った。母親は介入後直ちに精神的苦痛やPTSDが、6か月後に悲嘆反応に相関が見られた。父親は6か月後に精神的苦痛とPTSDに相関がみられ、介入直後は高かったPTSDも低減した。

 ②カウンセリング:Ahoら(2011)の調査は、3歳以下の子を失った父親にカウンセリングを行った。「絶望、パニック行動、非難・怒り、孤立、混乱」といういずれの要素でも、介入群とコントロール群とでは統計的に重要な結果は見出されなかったが、介入群の方が個人的成長の度合いが高かった。カウンセリングについては他に3つの研究結果も示されている。

 ③心理療法:Kerstingら(2011)の調査では、妊娠中の子どもを失った母親に、インターネットによる認知行動療法を行った。事前調査から事後調査における外傷後ストレスの回復は、介入群の方がコントロール群より有意に高かった。悲嘆の低下も介入群の方が有意に高く、一般的な精神病理やうつについては著しい改善が見られた。他にもう1つの研究結果も示されている。

 ④危機介入:Williamsら(1979)の調査では、突然の死を経験した家族を対象に、危機介入支援を行った。内科疾患や精神疾患、社会的機能やコーピングでは差は見られなかったが、家族機能において大きな差が見られた。

 子どもと死別した家族に対する介入効果については、質の高いエビデンスはまだわずかで、介入方法が確立しているとは言い難い。今後の研究発展のためには、悲嘆症状の重要性を明確にし、一般的な精神症状より介入を進歩させる必要性を明らかにすべきこと、悲嘆の質的・量的エビデンスの明確な拡がりを測定する必要があること、介入においては確かな始点と期間を設定すること、アウトカムは可能であれば評価者にわからないようにすること等が挙げられている。また、「どの介入が推奨されるべきか?」「その介入は全ての遺された人々にとって適切か?」「どのように遺された人々のニーズに対する支援を確認するか?」「全ての遺された人々にとって専門家による介入が必要か?」という問題が残されたままであることも示されている。

(原見美帆・関西学院大学大学院人間科学研究科)