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 悲嘆は時間だけで解決できるような問題ではありませんが、“日にち薬”という言葉があるように、時間が経過していく中で、気持ちは少しずつ変化していきます。ただし、悲嘆のプロセスに必要な時間は人によって大きく異なります。悲嘆の期間に一定のタイムリミットを設けることは、遺族に要らぬ心理的圧力を与えかねず、望ましくありません。
 
 遺族が対処すべき課題の一つは、大切な人の死そのものをどう受けとめるのかという問題です。死の意味を問い、自らがもつ枠組みにもとづき、その死を理由づけて解釈し、意味が通るものとして捉えようとします。なんらかの理由づけによって、その死と折り合いをつけようと動機づけられるのです。他方で、遺族は、現実生活の困難や、今後の人生設計など、故人亡き後のこれからの生活や人生をどう立てなおしていくかという問題にも対処していかなければなりません。この大きな二つの課題に同時並行で向き合っていくことになります。
 
 グリーフワーク(grief work)という言葉があります。この概念自体については批判的な意見もあり、議論の余地が残されているが、この言葉のワーク(作業、仕事)という表現は、的を射ています。すなわち、当事者自身が主体となって、相応の努力と苦悩をしなければ達成できないことを暗に意味しているのです。遺族は能動的な存在であり、一時的には弱者であったとしても、潜在的にはみずからの力で立ち上がり、人生を歩みはじめる力を有しているのです。