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HOME > 支援者のセルフケア > 共感性疲労と燃え尽き

 近年、死別の悲しみへの支援に対する重要性が社会的に認められるようになりましたが、その一方で、支援することで支援者自身も影響を受けることがわかってきました。代表的なものとして、支援後の疲労感や、燃え尽き(バーンアウト)などがあります。「燃え尽き(バーンアウト)」とは、長期間にわたり対人援助に従事していた人が、心的エネルギーを使い果たし、極度の心身の疲労や感情の消耗・枯渇をきたし、追い詰められた状態になっていくことをいいます。

 特に遺族の支援など、グリーフやトラウマを扱う対人援助を扱う領域では、「悲しみに寄り添う=共感する」ことで、「共感性疲労」と呼ばれるバーンアウト状態が起こる危険性があることが指摘されています。(1995 Figley)

 それでは、なぜ遺族の支援では共感性疲労が起こりやすいのでしょうか?

 フロイトは、私たちの心は「意識」の部分と「無意識(前意識・無意識)」の部分に分かれており、心の大部分が「無意識」の領域であると述べました。深く傷ついた体験や悲しみの記憶は、思い出すとつらいために、普段は無意識の領域に抑圧されていると考えられています。遺族が自分の悲しみを語ることは、自分が普段は意識していない無意識の領域に沈んだグリーフやトラウマなどを、吐き出させる作用があります。吐き出すことで、「話をして心が軽くなった」という状態(=カタルシス)を作りだすと考えられます。(2013瀬藤)

 遺族に寄り添う私たち支援者にも、同じように心の中に「無意識」の領域があります。そして、私たち自身にも幼少期からの傷つき体験があり、それが無意識の領域に多く潜んでいると考えられます。遺族が悲しみを語る時、心の奥深い部分が大きく揺れ動きます。同時に、その話に共感する支援者の心も共鳴し、大きく揺さぶられる可能性があります。知らず知らずのうちに支援者の過去の傷つき体験が再燃するなど、支援者自身がかかえる問題が増幅し、それがケアをされないまま長期間継続すると、共感性疲労の状態に至る一因になるのです。(1995 Figley)


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