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HOME > 支援者のセルフケア > 燃え尽きの徴候

 職業性ストレスとして一般的にいわれる「燃え尽き(バーンアウト)」は、その発症過程に「仕事や自分の役割に対し、高い使命感があること」「理想と現実にギャップがあること」「公私の境界が保ちにくいこと」「自己価値感が減少していること」などが背景にあるといわれています。そして援助を行う経過の中で、次第に心身の強い消耗感や、支援する対象者への非人間的な対応、個人的達成感の減少を来たし、仕事を続ける意欲が急速に低下していきます(1996 Maslach)。

 このようなことから、対人援助の現場にでは、支援に対して高い使命感をもち、長時間の支援もいとわなない支援者は、逆に燃え尽きに十分な注意が必要であると考えられます。前ページで述べた「共感性疲労」は、燃え尽き(バーンアウト)の一つの形と考えられています。この共感性疲労も、下図のようなさまざまな症状をきたします。

 トラウマの専門家であるFigleyは、「共感すること」は対人援助に不可欠であるとしながらも、強いストレス状態にある人の支援を行う場合には、支援者自身のストレスの持続やトラウマの再燃に、十分に注意をはらうことが重要である、と述べました。
 例えば、過去に家族を過酷な闘病後に亡くした経験のある支援者が、同じ境遇の人を支援する時、その語りに非常に共感しやすい一方で、自らの過去の記憶や感情が知らず知らずのうちに再燃し、支援者をストレスフルな状態に追い込むことがあります。

 この共感性疲労は、特に看護師やソーシャルワーカー、トラウマを扱う援助職、災害時の支援者などに生じやすいといわれています。遺族支援を行う場合においても、対象者のことだけでなく、支援者はいつも「自分自身」の心身の状態に目を向ける必要があるのです。

*図はFigley“Treating Compassion Fatigue”(2002)p7の図を瀬藤改変

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